田子の夜の夢・・・・ハマフエフキダイとの出会い(2008.7.14)

釣行記

今から10年以上も前にあった釣行記。伝説となってしまった投げ釣りwebサイト「ミッドナイトキャスターズ」に掲載された自分の記事です。金子さんも不慮の事故でなくなって、ミッドナイトキャスターズのサイトもcloseになった今、記事を読み返しながら僕なりにリマインドして残したいと思い書き残すことにしました。(2019.12.23)

今から数年前、高校正の時、ミッドナイトキャスターズの釣行記を何度読み返したことか。金子さんや舟橋さん、佐々木さんなど大島で弩級をいとも簡単に釣りあげていく、自分には当時電車釣行が多く学生だったため、離島はおろか伊豆にも行けてなかった。

ここ数年、埼玉から山梨に越してから車という最強にして最大の武器を入手し、ミッドナイトキャスターズの方々の聖域にも足を延ばす機会が増えた。そんな中、自分の記憶に新しい仁科での金子さん、佐々木さんのフエフキの釣果に目が飛び出そうになる。伊豆にもあんなに大きなフエフキがうじゃうじゃいることを感じ、いつも名手の足跡をたどった。仕掛け、道具、知識とほとんどがゼロからのスタートだったため、磯場での夜のキャストやウツボ等の夜のえさ取りの手返しの大変さなど、去年はいろいろなことを経験できた。

 そんな日々を送っている中、とうとう7月14日はやってくるのである。沼津、西伊豆と弩級マダイの釣果が聞かれる中、自分にはマダイとの縁がないのか、今期前半戦のマダイは苦戦を強いられていた。そこで、西伊豆の高水温と、とある場所でのフエフキの情報が入り、去年通い続けていた田子や浮島が脳裏をよぎった。仕事がら7、8月は休みがほとんどないため、秋まで待てずに浅場の高水温息を目指したのだ。そして、グッとタイミングで浮島が遊泳ブイがあり釣りができないとの情報が金子さんから入り、沼津でカゴ釣り師の好釣果を横目に見ながらも田子に入った。

 田子に入る前に仁科のアオキでヒイカとイカ短(切れているもの)をゲットし、釣り場に入る。するとダイバーの集団が浜からあがるところだった。こんな場所にダイバー?とも思ったが、「ダイバーはきっとフエフキ目当てに潜ってるんだ!」と前向きな妄想をしながら釣り場に入った。ここに来るまで西伊豆一帯は南西7m風が吹いていたがここでは無風、ベタナギ。浜から少し見える沖合にはうさぎが立っていた。湾内に入ってきてるかもと海流コースをイメージしながらタックルのセッティングに入り、対岸手前の砂地と14時方向3色付近にはっきりとわかる砂地と海藻帯の際に照準をしぼり、竿を3本だす。糸は、昨年10号で飛距離が稼げなかったので、8号のナイロンを使用し、ハリは太軸ムツ20号、ハリスはフロロの10号を60cmの短さにした。それも、金子さんから「フエフキはハリス短くても食うよ」と聞いていたので、根がかりと感度力をプラスさせたかった。それにこのポイントの水深が2~3mとなるとかけたら根にはりつかれて取れないと思ったからだ。餌はヒイカとイカ短を交互に使用したが、キャスティング時ヒイカの身切れが激しく、イカ短一本にしぼることにした。

 全ての竿にセッティングをすませ、3本を2~3色付近のおもいおもいの場所に投下するが、竿先に伝わってくるのはモゾモゾと嫌なアタリ、そうウツボだ。日が沈むまでに10本近くのウツボを釣り、予備ハリスを作っていなかったのに気付き、仕掛けを作っては投げの繰り返しをしていた。

 その時・・・・・「ジュゥィィーーーー」、目の前を見ると正面3色に投下していたツインパワー405BXが海中に突き刺さっているではないか!!この時点で竿尻ロープは極限状態まで張りつめ、きつく締めたはずのパワーサーフからこれでもかとラインが出されていく。「やばい!切れる」。すかさず竿を手にとり、竿尻ロープはずし→ドラグロック!→電撃アワセ→「乗った!!」一連の動作をし、竿に伝わってきた重量感、存在感、パワー。すべてが桁はずれでダイナミック。今まで10kg級のトビエイに幾度となくのされまわってきたが、その比ではないと瞬時に判断し、糸が一定の力で出されるようにドラグをゆるめた。竿はリールシートの上から海中にささり、奴はどんどん走る。まさにじゃじゃ馬だ。糸を緩めないように手でスプールを抑え二度目の電撃合わせを食らわせ、三角巻きになりながらも道糸が少しずつ自分のほうに寄ってきた。しかし、奴も岩に張り付き一歩も譲らない。糸を張り、奴が動き出すまで様子をうかがうと少しずつ沖に糸がでていったので、ゴロタを横に走りながらリーリングを再開。すると沖の浅瀬には真っ黒な大きな魚影が。今まで見たこともない!「デカイ!デカイ!」と自然に言葉がでてしまい、数メートルまで魚がよってくるとそれが人生初のハマフエフキダイだと認識できた。水面でめいいっぱい空気を吸わせ、左手を鰓ぶためがけてぶちかまし、その勢いでゴロタの浜までずりあげた。「うぉ~でけぇ!!!」左手にずっしりと伝わる重量感に、自然と「やったー」と浜辺で叫んでしまった。色が変わらないうちに写真を!とみるみるうちに色が変わっていく。写真を撮り検寸すると74cm(のちの再寸で77cm)6.2kgの人生初めてのハマフエフキダイだった。正直、伊豆半島でこの魚を釣ることにこだわりをもち、狙い続けてきたきた魚でもあったため本当に最高の気分だった。伊豆の釣りロマンに触れることができたのだ。嬉しさのあまり、いろんな人に電話やメールをし、金子さん始めミッドナイトの方々に祝福メールをいただいた。

 掛った針を見ると太軸ムツ20号が伸びていて、簡単に外れてしまった。この魚の破壊力と口周りの堅さは尋常じゃない。少しでも糸を緩めていたら、二度とこの魚に会えなかったことだろう。改めて合わせのかけ方、強さについて考えさせられた。

夕マヅメにこんなモンスターを釣ってしまうと、脳内の満足度数が増えてきてしまって困ったが、金子さんから「2匹目もでるよ!」のメールにスイッチが入り、ハリスを10号から18号にチェンジし、竿を2本体制にしミッドナイトに突入した。すると、今までかかっていたウツボがうそのように掛らなくなり、時折イトフエフキや良型のカサゴが竿先を揺らしてくれにぎやかで快適なゴロタフィッシングを行うことができた。蚊の大群がなければ・・・・・・。

 自分は、夜中も寝ずに釣り通すスタイルなので、常に仕掛けは海中にある状態が続くが、いつもだいたい深夜0時を過ぎるとさほどアタリもなくなり睡魔との闘いになるのだが、今回は違った。14時方向2色に投げていた竿が日付が変わったとたん飛んだ!「ジュィーーーーーーーーー」さっきよりも長く早いあたりだ。何度聞いてもこのドラグ音には心臓がバクバクするが、一連の動作のあと合わせると一気に横走りし、こいつも間違いなくフエフキだと確信した。何度となく走られ腕もパンパンになってきたが、2匹目になると要領をつかんだのか、寄せが早い!がっ、しかしこれがフエフキのパワーを温存させたままの寄せだったため、浅場で大暴れ。自分も長靴で海中に入りながら鰓ぶたを習うが、勢いがおさまらないため、瞬時に片手で抱きかかえるように陸にあげた(正確には投げた)。その衝撃かフエフキは血だらけ(殴ってはないです)。しかし、先ほどより体高があり美しい。サイズを測ると63cm。デカイ!2晩でこんないい想いをしていいのだろうか。本当に幸せだった。

 魚がクーラーに入らなくなり、漁協で朝トロ箱を買うまでストリンガーで生かしておくことにした。瀕死の状態だったため(殴って瀕死の状態にしたため・・・あっ、違うか!)安心していたが、フエフキは明け方に近づくにつれ体力を戻し、最後に確認した数十分後、ストリンガーを伸ばし、田子の海に帰っていった。

63cmを釣った後にも4回竿尻が上がるアタリがあり(1回は巻き上げ途中の高切れ、もしくは痛んでいたラインに負担がかかり切れた。3回は合わせるも乗らず)この日の活性の高さがうかがえた。浅瀬での弩級の引きにどっぷりと魅了され、時間が許す限りここ伊豆半島のハマフエフキダイを追い続けてみたいと心に誓い、納竿となった。

 今回こうして弩級のハマフエフキを上げることができたのも、金子さんをはじめ、ミッドナイトキャスターズの方々の経験や指導のおかげであり、これからも自分の腕を磨きつつ皆さんと共にロマンを追い続けていきたいと思いました。本当にありがとうございました!!!

タックル

<77cmのタックル>

竿:ツインパワー405BX リール:パワーサーフQD 道糸ジャストロン8号 オモリ:ニシオカ天秤FL30号誘導 ハリス:フロロカーボン10号 針:太軸ムツ20号 エサ:イカ短

<63cmのタックル>

竿:ファインセラミックス425CX リール:PAスピンパワー太糸仕様 道糸レグロン8号 オモリ:ニシオカ天秤FL30号誘導 ハリス:フロロカーボン18号 針:太軸ムツ20号 エサ:イカ短


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