三浦半島で生きていく

独り言

ここに来た時の事をたまに思い出す。夢を夢と呼べなくなり、心身ともに疲れ果てた若造の僕は、気がつくと三浦の海に立っていました。

あれから10年。僕らはここで夫婦で宿を営んでいます。

三浦半島をもっと知ってもらうにはどうしたらいいのか?

朝日が昇り、夕陽が沈む街の良さを表現するには何か?名物や名勝、映えスポットやスイーツ。この時代において発信するものが溢れかえっている。

僕には「魚」しかなかった。

この服には三浦半島を代表する魚達が泳いでいる。

春を告げるメバル。

はじめて釣りをする子ども達の目をキラキラさせることのできるウミタナゴ。お腹から小さな親そっくりの赤ちゃんが出てきてみんなびっくりするんだ。

春が終わり初夏の訪れを感じるマサバ。

「魚って美味しいー!」と魚嫌いな子ども達が骨ごとムシャムシャ味わう夏の味、ウルメイワシ。

少年時代、祖父に天ぷらを食べさせたくて埼玉から電車に揺られ初めて釣ったシロギス。

釣りを経験した人ならいつかは手にしたい秋の青物イナダ。小さな頃は流れ藻と共に旅をする「モジャコ」

そして、今僕が一番夢中になっている真冬の荒波を泳ぐ磯の王者「ヒラスズキ」

一つ一つの魚に、エピソードや思い出があって、その魚を見たり、味わって思いだす人の顔や出会いがあります。僕はきっとこれから先も、三浦半島の魚たちと共に生きていくのでしょう。そして、それは誰かの人生においても、刻まれる思い出になっていくのかもしれません。

三浦半島の魚たちが各地に旅立ち、誰かの小さな思い出の一つになる事を僕は願っています。

明日も海で朝日を眺めながら。

2024.12.23

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